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2021年05月14日

タマ

ある時、見慣れぬ白とネズミ色まだら模様の猫が一匹やって来た。どう見ても野良猫である。毎日やって来る。秋から冬にかけての頃だったので、だんだん寒くなってきた。吹き去らしの茶室の廊下に踞っているので、寒かろうと思い、布小屋を買ってきて、置いてやると喜んで直ぐに入った。出入り口も布カーテンを作って、少しでも風が吹き込まないように工夫してやった。益々喜んで、毎日布小屋を愛用した。定期的に餌も与え、もうこの小屋が白ネズミまだら猫の住み家になった。そこで「タマ」と名前をつけてやった。その内もっと奥の方に、もっと快適な部屋があると気づき、あっさり布小屋を捨てて、厚かましく奥の部屋に入り込んできた。すでに其処には愛猫「クロ」が居たのだが、そんなことはお構いなしだ。何と其処へ半ば強引に棲みついた。あれから約十年の歳月が流れた。最近先住猫の「クロ」は老齢化で介護も虚しく死んでしまった。ついに「タマ」の独壇場となった。しかしその「タマ」も、近頃急に衰えてほとんど踞って寝ている。動作も何だかヨロヨロして、顔もおじいさん顔になった。タマ~!と呼んでも、反応が鈍い。こんな調子ではタマの寿命もそう長くない。長生きするんだぞ~!といつも声かけをしてる。

投稿者 zuiryo : 2021年05月14日 16:00

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