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2014年11月21日

遊亀と靫彦展

滋賀県立美術館へ行ってきた。特に遊亀の「径」(こみち)をもう一度見たかったからである。何度見ても不思議にほのぼのとした気分にさせられる。真ん中の少女の傘をおもいっきり差し上げている格好が何とも微笑ましく、一番後ろの犬がまた良い。いい絵は飽きることがない。今回初めて見た「磨針峠」(すりばりとうげ)も良かった。京都の厳しい修行に耐えかね故郷に帰る青年僧が、老婆になった明神の、斧から一本の針を磨きだそうとする姿に改心して、再び修行に戻るという場面が描かれている。画面の右側に立っている修行僧と左に座る老婆の目が、画面中央でじっと見つめ合っているところが良い。修行僧の墨染めの法衣に玉襷姿がいかにも初々しく、思わず引き込まれた。遊亀の背景は百遍塗り重ねると言われているそうだが、先ほどの「径」も板に描かれていると言うことだが、畳二枚分くらいはある大画面の背景の柔らかさ、深み、見れば見るほど引き込まれる。また天田愚庵作の20センチくらいの小さな犬の彫刻、遊亀は玄関に置いて、この「愚庵さんの犬」をいつも撫でていたそうだ。コロコロでぽっちゃり、ニコッと微笑んでいる顔がまた良い。じっと犬の顔を見ていたら、ふと「ハチ」を想い出し、思わず涙がこぼれてしまった。そのほか沢山良い絵を見させて頂き、大満足で帰ってきた。往復4時間かかり少々草臥れたが、充実した1日だった。

投稿者 zuiryo : 2014年11月21日 19:33

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