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2013年05月18日

橿森神社

うちの地続き(小さな山を挟んで)に橿森神社がある。明治6年、神仏分離令が発布されるまでは瑞龍寺が管理していた。こういう例は日本国中沢山有って、四国の或る寺などは全く同一境内に右側にお寺、左側に神社が建っているところもある。日光の東照宮と輪王寺の百年続いた境界争いなどもこういう典型である。さてこの神社、十数年前の台風で鳥居が根元からボキッ、ぶっ倒されてしまった。神社の象徴のような朱塗りの鳥居がなくなると、何とも間が抜けてしまった。横の空き地に壊れた鳥居の残骸が青いビニールシートに覆われ積んであった。この神社は氏子の数が2,30戸と極端に少なく、柳が瀬という繁華街の近くという立地の良さにもかかわらず、平生のお参りはほとんどなく、鳥居の再建も容易ではない。10年ほど経った頃、鳥居のあった場所に大きな看板が立った。再建計画案で、完成予想図と総額予算1億何千万円也が記されていた。無理、無理、無理、無理!失礼ながらそれが実感だった。さほど大きくもない鳥居が一億円以上もかかるというのにも驚かされたが、神社の実情を知る私にとっても、この計画そのものが無謀に思われた。間もなく氏子の一人が寄付をお願いしますとやってきた。過去の経緯もあるから少しだが気持ちよくさせて貰った。そんなことがあってから何年も経過して、なお再建の槌音は聞かれずじまいだった。やっぱり無理だよな~。ところがここへ来てにわかに鳥居の工事が始まりあっという間に立派に完成した。これには驚いた。どう工面したのかは聞いていないが、神仏に対する人々の思いの深さを改めて実感させられた。

投稿者 zuiryo : 2013年05月18日 09:03

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