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2013年05月15日

太った僧侶

これはタイのお話。近年タイでは太ったお坊さんが増え健康状態に黄信号がともっているそうだ。インスタント食品や出来合いのお総菜がパックになった「お供えセット」などの高カロリー食品が信者さんのささげる食べ物の主流になってきたためだそうだ。ご存じの通りタイでは日本の托鉢と違って、調理済みの食べ物を鉢の中に入れる。受け取った食べ物は鉢から大きな袋に次々に移し替える。白米やおかず、即席麺や栄養ドリンク等々、みるみるうちに一杯になる。かつては自炊した物を捧げたのだが、時代の流れとともに人々の生活も変わってきた。朝は忙しいけどお供えはしたい。そこでセットが便利で助かるという次第。市民は捧げることで徳を積み、自分や家族の幸せな来世にもつながると信じている。塩分や糖分が多いと分かっているが教えにより受け取りを拒否したり選んだりは出来ない。一方僧侶は戒律によって激しく体を動かすことが禁じられているため、一般市民のような健康管理は不可能。体重を気にする北部チェンマイのある僧は、深夜こっそり室内でトレーニングマシンを使って走っているそうだ。タイ保健省によると、2007年実施した調査では、全国で27万人いた僧侶のうち45%が太り気味か太り過ぎ。糖尿病・高血圧のほか、体重増加による関節の痛みなどが増加という。僧侶の健康を気遣うことこそが幸せな来世に繫がると、塩分を控えたお供え用料理レシピをまとめた写真付き冊子を作成し市民へ配布を始めたそうだ。日本の僧堂で修行する雲水の場合、肥満などと云うのはまるで別世界の話で、むしろ飢えとの戦いである。タイの上座部仏教と日本の大乗仏教のちがいである。雲水修行では、昔は托鉢に点心が付いて、信者さんのご厚意で昼食を頂いたものだが、近年はこういう制度もなくなってしまった。私も雲水時代の体重は57キロで、胸は洗濯板のようだった。ちょっとタイのお坊さんが羨ましくなった。

投稿者 zuiryo : 2013年05月15日 16:41

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