« 1ケ月ぶり | メイン | 我が母の記 »

2012年09月22日

カルチャーの違い

国によってものの考え方が違うと言うことは良くあるもので、これだけグローバルな時代になっても尚、驚かされることがある。最近ロンドンへ行き友人に大変お世話になった。旅も終わっていよいよ帰国という当日、滞在したホテルの2Fから大きなトランクを降ろして彼の迎えの車を待つことになった。前日別れ際に、「トランクは重いですから私がおろしに参ります」といった。有り難うと一応言ったものの、あまり意に介せず当日時間もあったので階段をゴロゴロ引きずって下の受付まで降ろして彼が来るのを待機した。ホテルの前の道に車をちょっと停車させてトランクを積み込めれば何も慌てる必要は無いわけだが、それが出来ないのだ。ロンドン市内の厳しい停駐車規則を知らない者には、何と不都合なと思う。市内はいくつかのエリアに分けられていて、車の所有者のエリア内なら問題は無いが、他のエリアの者がちょっとでも路上に停駐車させようものなら、ものの1分も掛からぬうちに専門の摘発会社の社員が目を光らせて居て直ぐ約1万円ほどの罰金を取られる。日本では5,6分くらいならまず大丈夫と考えるが、幾つ摘発して罰金を徴収したかで給料が決まるので、鵜の目鷹の目で見張っており、だいたい30秒が限界らしい。こういう特殊な事情があるので、彼はわざわざ歩いて私のトランクを下まで降ろし、もう一度家に帰って車で迎えに来て、さっと電光石火積み込むという段取りであったのだ。わざわざそんなことのために行ったり来たり2度もさせるのは気の毒と思い、気を利かせたつもりで自分で降ろしたのだった。降ろし終わって猫と遊んで待っていたらそこへ彼が颯爽とやって来た。見ると既にトランクがフロントに降りている。むかっ!としたらしいが、何も言わずに直ぐとって返し車でやって来た。日本では時間を約束をしたら、例えば人の家にお邪魔する場合など、12時と決めたらだいたい15分から10分くらい前に到着するのが常識で、万が一にも約束の時間を遅れるというのは大変失礼に当たる。ところがイギリスには約束の時間を30分遅れて行くのが最も良いという言葉があるそうだ。だからこの場合も11時にトランクを降ろしに来ると約束したのだから、こちらは少なくとも2,30分はじっと待つのが良いというわけである。ましてや先に降ろしてしまうのは最も礼儀に反する行為なのだそうだ。この話には驚いた。日本の常識がイギリスでは非常識に当たるのである。まっ、たったこれだけの遣り取りでのことだから。目くじらたてて言うほどでも無いが、カルチャーの違いを感じた。世の中インターネットで瞬時に世界中のことが解るような時代になった。しかし現地で生活してみなければ解らないことが沢山あるのだと言うことを知った。

投稿者 zuiryo : 2012年09月22日 09:34

コメント