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2011年07月09日

サーチュイン酵素

私は小心者だからやたら健康のことが気になる。だからNHK「ためしてガッテン」は欠かさず見ている。先日、老化防止の話題で、サーチュイン遺伝子が働くと、人間は百歳ぐらいまでは難なく生きられるという、ビックリするような話しだった。この老化を防ぐ遺伝子は誰でも持っているそうで、それをいかに効率よく働かせるか否かが鍵で、解ってきたことは「飢える」事だそうだ。人間飢餓に陥れば、眠っていたこのサーチュイン遺伝子が俄然活躍しだして、老化を防ぎ長寿延命を得るのだそうだ。ということは、現代の飽食はこれと全く反しているわけで、グルメなどは自ら寿命を縮めているようなものである。そこで気がついたことは、僧堂の食事の粗末なことである。しゃびしゃびのお粥が朝食、作務が始まる頃には腹はぺこぺこ、へそが背中に飛び出すのではないかと思うほど。途中、茶礼があって、しばし一休だが、センブリのようなお茶に沢庵の千切りが出てくるだけだった。斎座は無我夢中で食べた。麦飯に味噌汁、沢庵だけだが、世にこんな美味いものがあるかと思うほどだった。持鉢に4杯、てんこ盛りにして食べた。薬石もほぼ同様、こういう食事の繰り返しで、過酷な労働の日々、体が持つかと心配になったが、そんな心配は全くなく、元気溌剌却って健康になったくらいだった。栄養がどうのカロリーがどうのという難しい話しは分からないが、兎も角健康で10数年過ごすことが出来た。この不思議がこの番組を見て解ったのである。人類が単細胞から長い年月を経て進化する過程で、幾度となく飢餓に襲われた。その危機を乗り越え生き延びるために「サーチュイン遺伝子」を獲得したのである。つまり粗食こそ長生きの秘訣というわけ。そう言えば先住の大心老師はいつも、「粗食が良いんだぜ!」と言っておられた。嘗て97歳まで現役管長として活躍された古川大航さんは、秩父の山奥の生まれで、平地のないところだったからお米が出来ない。そこでそばが主食だったそうだ。当時、いよいよ臨終という間際、竹筒に入れたお米を振って音を聞かせて、あの世に送ったという話しが残っている。せめてお米の音だけでも聞かせて冥土の土産にしたのである。こう言うところで育ったから、終生粗食を旨とし、晩年に到るまで、「おじや」だけで過ごされたそうである。現在の僧堂のシステムは、ほぼ江戸時代末頃に完成したのだが、科学的知識など殆ど無かった時代に、この食事も考えられのだが、結局最先端だったわけである。食事のみ成らず、僧堂全体のシステムは実によく考えられている。永年生活ししてみると、そのことが身に染みて解る。

投稿者 zuiryo : 2011年07月09日 10:14

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