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2010年08月26日

ハチ

愛犬ハチのことではない。蜂の話し。私は部屋からの出入りは、通常は小玄関からだが、ちょくちょく隠寮の庭先の靴脱ぎ石からも出入りする。庭の隅に数段の石段があって庫裡の裏手に出て、典座の横を通り表に出る。この隅の石段の山側は高さ1メートルほどの石積みがしてある。ある時、この石の隙間に蜂が頻りに出入りする年と全く出入りしない年がある事に気が付いた。爾来何か因果関係があるのかずっと考えていたのだが、その内解ったことは、蜂が石垣の中に巣を作る年は必ず颱風がやってくると言うことだった。作らないときは、多分、山の中の木にでも作っているに違いない。つまり颱風がやってきたら山の中ではとても保たないから、相当前から察知して、石垣へと移動するのである。しかし1,2ケ月も前にその判断をするわけだから、どうして颱風がやがてやってくるかということが蜂に解るのか、全く不思議なことである。動物の本能なのだろうか?その後この蜂の予報は外れたことはない。で、今年だが、石垣から出入りしていないので岐阜地方には颱風はやってこない。これが蜂のご託宣である。この蜂、大きさはスズメ蜂ほどだが、体が少々黒く、人を刺すような気配はない。だから毎日側を通っても平気なのである。ところで一方のスズメ蜂だが、油断をしていると軒先にあっという間に巨大な巣を作ってしまう。以前は市役所に頼むと係の人が夜やって来て除去してくれ、然も無料だった。ところが近年財政難のためか、市役所に連絡すると専門業者を紹介してくれるだけで、後は全てこっち持ち。サイズにも依るのか知れないが、一抱えほどの大きさのもので2万円也。数分で取り除いてくれるのだが、それにしてもなかなか良い値段である。これに懲りて巣を作り出したら目敏く見つけて、雲水が竹竿ではたき落とすことにしている。巣は小さくとも何匹かは蜂が居るので多少危険だが、2万円には換えられない。この方式で以後は何とか出費を防いでいる。私が雲水の頃、僧堂の本堂の真正面軒下に巨大なスズメ蜂の巣が出来てしまい、沢山の蜂がうなりを上げて飛び交い、下を通るのも危険になってきた。大きな本堂だったから軒下と言っても相当な高さ、長い竹を繋いで巣に届く竿を作った。4,5人掛かりで巨大に成長した巣をはたき落とそうとしたが、丈夫でちょっとやそっとではびくともしない。いきなり巣の真ん中にぶすっと刺し引っかき回した。途端に何十匹というスズメ蜂が竿を伝って急降下、手にぶすぶすと刺した。竿を保っていた者は堪ったものではない。イテテテテッ!と悲鳴を上げ、竿を投げ出し逃げ回った。回りで様子を見ていた我々まで蜂に追い掛けられ、頭を抱えて逃げまどった。治療法は小便が良いと言われ、みんなで小便器に手を突っ込んだ。臭いだとか汚いなどと言ってられない、治療薬など何も用意していないのだから。今時の雲水にそんな危険なことをさせたら、何を言われるか解らない。当時はその程度の危険はごく当たり前で、兎も角自分の身は自分で守るというのが原則で、誰も助けては呉れなかった。今から思えば懐かしい思い出である。

投稿者 zuiryo : 2010年08月26日 16:44

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