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2010年04月21日

近道は敵

知人の和尚で、毎月ハガキに文章を書いては壇信徒を始め知人友人に送っている人が居て、私の処へも何年間もこつこつ送ってくる。毎回楽しみに読ませて頂いているのだが、今回の文章の標題が「近道は敵」であった。その文章を引用させて貰う。楽して儲けたものは泡となる。苦労して身につけたものは生涯の身を立てる宝となる。苦労を厭わず努力と研鑽と辛抱を積み重ねる事が大切である。古今東西史上に名を成した人を見ると、皆大きな志や目標を掲げて自分を厳しく鍛え努力している。自分を育てるのは自分しかないのだ・・・云々。なるほど納得である。特に最近はこの地道な努力を怠る。楽してお金を儲けて何が悪いのだ!と言って憚らぬ。むしろ汗水流し、労多くして効少ないのは、どこか間違っているからだと言わんばかりである。禅の修行では「無駄骨を折る」という。後から考えたらあれは無駄骨だったな~と言うのが良い。道でも迷って遠回りすれば、ダイレクトに行き着くより、それだけ周辺の道も知ることが出来るからだ。狭い日本そんなに急いで何処へ行くである。その為には大乗根気が要る。ちょっとやって駄目なら直ぐ諦めるようでは駄目で、恰も雨だれが硬い礎石を穿つように、同じ事を間断なく繰り返し続ける、まさに正念相続である。僧堂でも3年も居れば鬼の首を取ったような顔して帰って行く。俗に石の上に3年と言うが、修行は石の上にも10年である。10年くらいやると、本当のところが解ってくる。しかし近頃石の上に10年、坐り続ける者は殆ど居なくなった。こんな調子では宗門は益々衰退の一途を辿る。しかし中にはこういう世間の風潮に逆らって、バカになって10年以上頑張るものも居る。こういう男が一人でも居ると嬉しくなって、こっちも頑張れるのである。最初に「近道は敵」と言ったが、これには相当覚悟が要るのだ。

投稿者 zuiryo : 2010年04月21日 14:40

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