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2007年11月20日

関ヶ原

知人の案内で或る企業の社長さんにお目に掛かった。場所は関ヶ原の合戦で有名な場所に隣接したところで、あの山が島津の陣・こちらが小早川の陣、あそこが家康の陣などと、四百年前のことが目の前に展開するというところである。遙か西方には雪に覆われた伊吹山が望まれ、周囲の山々の紅葉を愛でながら、ぽかぽか陽気の田舎道を歩いた。この社長さん大変ユニークな方で、新進の芸術家を何人も援助し、敷地内に芸術村を作って、好きなように作品作りをさせている。工場内の壁面には巨大な絵が掲げられ、事務所や会議室にも雰囲気のいい絵が飾られている。また敷地内には至る所芝生が敷き詰められた美しい庭があり、そこには様々な石の彫刻が置かれ、工場全体がまさに彫刻の森美術館である。これらは全て社員たちに開放され利用されている。現代人は効率第一で、全てが機械化され、人間本来のみずみずしい感性は失われ、新鮮な驚きや感動がなくなってしまった。「人間らしさ」がなくなったと嘆いておられた。企業家として日々厳しい試練に直面しながら、一方で、こういう生き方を貫いている姿に、嘗ての日本人が持っていた懐の深さを感じたのである。

投稿者 zuiryo : 2007年11月20日 20:39

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