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2017年10月06日

人の心は変わる

不透明で不確かな世界で次のことだけはいつの世でも真実である。第一は人の心は変わる、人は必ず死ぬ。自明の理であるほどその理由は意味深い。普段自分の体は自分のものと思っているが、実は身体は流れの中にある。分解と合成のさなかにあり、常にその時点で構成している原子や分子は捨てられている。もっとも高速に入れ替わっているのは上皮細胞である。ゆえに記憶も流れ流されている。全身のあらゆる部位は作り替えられている。1年もすれば物質的には私は別人になっている。だから心がどこに宿っているにせよ、変わって当然なのである。約束なども生物学的にはやぶってよい。それは過去の別人がしたことだから。自己同一性も自己実現も幻想である。同一の自己も実現すべき自己もない。流れだけがある。ヒト以外の生物は、約束なんてしないし、一貫性もない。そのかわり後悔もない。生物はわざわざエネルギーを使って積極的に自らを壊しては、作り替えている。細胞は壊すことの方を必死にやっている。これが動的平衡である。なにゆえにそこまでして壊し続けるのかである。 

投稿者 zuiryo : 2017年10月06日 13:04

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