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2017年07月26日

パレートの法則

この法則は百年ほど前にイタリヤの経済学者ビイルフレッド・パレートが発表した経済法則で、「社会の富の八割は、従業員の二割の高額所得者に集中し、残りの二割の富が八割の低所得者に配分される」というものである。この法則は多くの社会現象や自然現象を説明するのに使われる。会社の売り上げの八割は従業員の二割が生み出している。などと言われたりする。アリをよく働き者の代名詞のように思っているが、実は彼らの二割くらいは働かずに遊んでいる。よく働く働きアリから殆ど何もしない働かない働きアリまで幅広くいることが解った。さらに研究を進め、働く働かないがそのアリの天性かどうかを調べる実験をした。よく働く30匹の働き蟻のコロニーを三つ、働かない30匹のコロニーを四つ作り、更に観察をすると、よく働くアリだけを選抜したコロニーも、働かないアリだけを選抜したコロニーも、矢張り残された個体は一部がよく働き、一部は殆ど働かないという結果が出た。元のコロニーと同じような労働頻度の分布を示すことが解った。つまり働く、働かないは天性のものではなかったのである。ではなぜこういう現象が起こるのか。原因は矢張り働きアリの間に存在する、仕事への反応性の個性のせいだと考えられる。しかしその働かない二割のアリにも意義がある。二割ぐらいの遊軍を作っておいた方が、いざというときにその労働力を使える。つまり常にスペアを持っていた方が危機に対処しやすいというわけである。しかし現在ダーウイニズムの枠組みでは、遠い将来に役立つかも知れないことを、予め予定しておくことは出来ないと考えられている。この観察事実は新しい生物学、進化学に刺激的な問題提起なのである。

投稿者 zuiryo : 2017年07月26日 21:58

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