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2017年02月03日

文七元結

私は小さい頃から落語が大好きで、落語大全集などの本を読み、一生懸命覚えた。覚えると今度は人に聞いて貰いたくなる。ところが子供の落語の真似など聞いてくれる者などいない。そこでばあやを捕まえては一席披露、まあ義理で、上手上手!などと言われ得意になっていた。その後受験勉強に追われ、また僧侶になって修行に入ってからは殆ど忘れていた。月日は巡り岐阜へやって来て十数年経ち少し気持ちにゆとりが出来た頃から、遙か昔の落語好きが復活、今では落語と山歩きが趣味になった。良い落語家の良い話は、なんべん聞いてもその都度良いな~と思う。最初から終わりまで殆ど全部台詞まで覚えていて、なお毎回飽きない。近頃きゃ~っ!と言われて浮かれているような安っぽい落語家の話なんぞ聞いちゃいられない。数ある中でも特に好きなのは、志ん朝の文七元結(ぶんしちもっとい)である。江戸時代の下町人情の機微が克明に現され、江戸っ子の歯切れのいい物言いが小気味よく、最初から数えたらもう何百回になるか分からないほど聞いて、なお良いな~!と思う。

投稿者 zuiryo : 2017年02月03日 12:04

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