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2014年11月13日

江戸時代の庶民

ドラマや小説で取り上げられるのは、主にその時代に大活躍した有名な武将などで、あまり一般庶民の日常生活などを知る機会はない。普通の人は一体何を考え、どんな生活をしていたのか興味が湧く。そんなおり、ある書物に出会い大変興味深く読んだので一部を紹介する。これは江戸末期の話だが、ことにふれて赤児のような純真極まりない人達だったようだ。ある僧が江戸からの帰り道、木曽山中で馬に乗った。道の険しいところに来ると、馬子は「親方、あぶない!」と言って助ける。余り度々なので、僧がその故を問うと、「おのれら親子四人、この馬に助けられて露の命を支えそうらえば、馬とは思わず、親方と思いていたわるなり」と答えた。この馬子、清水が湧くところまで来ると、自分で手水を使い、馬にも口をすすがせて、馬の顎の下に座って、十念を授けたまえと言った。十念とは南無阿弥陀仏を十遍唱えることである。僧を載せるときはいつも賃金は心任せにして、その代わりに十念を受けて、自分ら家族と馬とが仏と結縁するよすがとするのだと言うことであった。この話、特に木曽山中のことだから、当時一般庶民よりまた一段と純朴だったのか知れないが、読んでいるだけでも心がほのぼのとして幸せになる。

投稿者 zuiryo : 2014年11月13日 14:30

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