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2014年02月04日

乗馬

門前のおばあさんが亡くなった。89才であった。この方のご主人と大変親しくさせて頂いた。岐阜市郊外の河川敷で馬場を経営しておられた。20数年も前のことだが、私は午年生まれと言うこともあり、一度馬に乗ってみたいというと、どうぞどうぞと勧めてくれた。広大な敷地にコースが出来ていて、傍らに楕円形の広場もある。まずは背中に乗るだけでも大変で、鐙に片足を掛けてひょいっと跨がれない。初心者はビールケースに足を掛け、しがみつくようにして漸く背中に乗るという有り様である。乗ってからがまた大変で、つかまるところがない。西部劇に出てくるカウボーイの鞍には前に角のようなのがあるからそれを掴めば良いが、普通のには何もない。しかも馬の背は例えるとコンニャクのようで、グニャグニャしている。手綱があるではないかと思うかもしれないが、手綱は常に弛ませていなければならない。だから動き回る馬の背中の上で体の重心を保っているだけでも大汗掻く。で、一体どこで体を支えるかというと両股で馬の腹をぎゅ~っと締め付ける事で自分自身のバランスを取るのである。だから1時間乗って降りると内股がひどく疲れてがに股歩きになる。と、こんな風にご好意に甘えて2,3年乗馬を経験させて貰った。結局止めたのは3回落馬して、背中をたたきつけられ、私と馬とは相性が悪いと思ったからである。勿論そういう場合に備えて乗馬用のヘルメットをかぶっているので、怪我はない。その時お世話になったご主人は今91才で介護施設に入っている。ご夫婦共に親切にして頂いたので、引導を唱えながら、思わず声が詰まってしまった。本当に悲しい別れであった。

投稿者 zuiryo : 2014年02月04日 20:12

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