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2012年08月18日

根気

私は小さい頃からいつも母親に、「お前は良い子なんだけれど、何をしても続かず、直ぐに止めてしまう。これが欠点ね」と言われていた。確かにその通りで、そろばん塾・絵画塾・書道塾・英語塾、等々随分塾通いはさせられたが、暫くするとなんだかんだと言っては止めてしまった。だから18歳の時、突然お坊さんになると言ったときは、この子はまたしばらくすると、「もうあやめた!」と言うのではないかと随分心配したようである。お陰様でお坊さんだけはこの悪い癖は出ず、もう50年以上も今なお続けている。私が唯一母親孝行と言えるのは、途中挫折せずこうしてお坊さんを続けていることである。長い間僧堂にいて、本当に沢山の人を見てきた。この男はきっと将来立派な禅僧になるだろうと思っていたのが、あっという間に何の変哲も無いお坊さんに成ってしまったり、又その逆もある。この違いは何なんだろうと考えることがある。理由はいろいろあるだろうが、はやり一番は根気ではないかと思う。たとえ愚鈍でも地道にこつこつ続けて行きさえすれば何とかなる。会社勤めの競争社会ではそんなわけに行かないかも知れないが、自分自身の内に向かって極めて行く修行の場合は、常に相手は自分なのだから、根気が一番なのだ。却って特別な才能などない方がいい。自分はバカだから人一倍努力しなければならないと肝に銘じて、賽の河原の石積みの如くこつこつ根気よく努力し続けること、これに勝る才能は無い。

投稿者 zuiryo : 2012年08月18日 11:18

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