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2012年07月12日

因果

連続放火事件現場に挙動不審の人物が付近をうろついていた。写真まで撮っている。さてこの男を放火犯と決めつけることが出来るか。否である。何故なら放火事件と現場における彼の存在の間には、相関関係はあるとしても、そこに因果関係があるかどうかは見極められないからだ。彼は火事と聞くと居ても立っても居られない「火事オタク」なのかもしれない。つまり相関関係をどれほど注意深く観察しても、そこから因果性を導き出すことは出来ない。にもかかわらず、私たちは実に多くの場合、相関関係から因果関係を導き出す。長寿者が多いこの村では、伝統的にヨーグルトが沢山食べられている。だからヨーグルトには長寿の秘密がある。お茶どころでは胃ガンの発生率が低い。だからお茶には抗ガン活性がある。これは地球温暖化の問題でも同様なことが言える。過去150年間、大気中の二酸化炭素は確実に上昇している。気温も上昇傾向にある。この数値の変化は同じような増加傾向を示している。両者には相関関係あると言える。しかしだからといって、両者に因果関係があるかどうかは言えない。二酸化炭素の温室効果によって気温が上昇した、これが定説だが、実は後先が逆なのかも知れない。別の原因で気温が上昇し、その結果二酸化炭素濃度が上昇したのかも知れない。気温が高くなると、気体の水溶性が低下するので、二酸化炭素が海洋にとけ込みにくくなっているのかも知れない。相関関係から因果関係を立証するのは実に大変な作業である。現在科学技術をめぐる諸問題において、この判断の切り分けが極めて曖昧になっている。それを見分ける能力が本当の意味の科学であり教養とよべるものではないか。以上はある学者の文章を引用させて貰った。近頃テレビや新聞などで足腰が痛むひとはこれを飲めばいいとか、目がしょぼしょぼしたひとはこれ、疲れやすいひとはこれ、一粒でレモン何十個分とかやたら宣伝が喧しいが、人間の身体はそんな単純な構造で出来てはいない。バカも休み休み言えと言いたいくらいだが、これが結構繁盛しているというのだから全く愚かなことである。商売の邪魔するなと言われそうなのでやめるが、昔の人の知恵を謙虚に学ぶことが肝心と思うのである。

投稿者 zuiryo : 2012年07月12日 15:29

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