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2012年04月05日

津葬(しんそう)

今日は私が大変お世話になった和尚さんの津葬があった。朝からどんより曇って、時折ぽつりぽつりと雨も降り、例年なら桜の満開の時期にも拘わらず、小寒く冷え冷えとした日であった。昨年6月突然癌の宣告を受け、それからの闘病9ヶ月間は心身をすり減らすような日々であった。勿論ご本人と奥さんが一番しんどかったわけだが、さりとて一端不治の病に冒されてしまえば如何ともし難い。私は瑞龍寺に入寺する前から様々なご指導やお骨折りをお掛けしたので、和尚さんに対する感謝の念は一入である。特に入寺の翌年から始まった全伽藍の再建・開山五百年遠諱・受戒会・報恩接心等々、総て背後から支えて下さった。その後も尼僧堂の設立・開単・堂頭・禅学林寮舎等々、新たに僧堂を一つ作ったわけで、これも苦労の連続だった。勿論これには資金的援助を全臨済、黄檗から頂いたので、そっちの苦労はなかったが、しかしお金があれば出来るというものでもない。ハードとソフトと言うが、この両方が揃わないと機能しない。特にソフト面が重要で、規矩のもとに規律のある僧堂修行がスムーズに行われるように準備万端整えるのは本当にしんどかった。入ってくる雲水は何も解らないわけだから、放っておけば無茶苦茶になってしまう。これら総て和尚さんが仕切って段取って頂いた。このように私が瑞龍寺に来て以来30年間まるっきりお世話の掛けっ放しで、何もお返しが出来ないうちにあっという間に亡くなってしまった。まだまだ生きてやりたいことが沢山あっただろうに、どれほど無念だったかと思うと、胸が詰まる。本当に世の中は理不尽なものだと悔しくて仕方がない。

投稿者 zuiryo : 2012年04月05日 20:13

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