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2011年04月24日

唯識

私のような無学の者に珍しく、友人に立派な唯識の学者さんが居る。10数年前、御嶽山中滝行でご一緒させて頂いたのがそもそもご縁の始まりで、爾来交流が続いている。先生は10年以上も掛かって唯識辞典を上梓され、その時にも、頂くには勿体ないような大部の本をプレゼントされた。また1年間に亘って毎月NHK教育テレビで唯識の講義をされたときも、わざわざ資料を頂いたので、毎回欠かさず拝聴した。しかし、正直言って難しすぎて皆目解らなかった。言葉だけが頭の上を通り過ぎて行くような感じで、世の中にはこんな難解な学問をひたすら研究し続けている人も居るものだと感じた。そんな時は、この唯識を超やさしく、我々素人に解説してくれる人は現れないものかと思ったものだ。そんな折り文庫本で、「阿頼耶識の発見」ーよくわかる唯識入門ーというのを先生から頂いた。早速開いて読み始めると、これは良い、図入りで文章も平易、ポイントのところはゴチック太字で表記され、あっという間に1冊読み終えた。そこで人にも唯識について話してやろうと考え、ポイントのところをチェック、少しずつまとめてみた。唯識とは唯、心だけが存在するという仏教思想で、自分も物も一切存在しないと言う、世間一般からすると大変非常識な思想である。自分も物も全ては心の中の影像なので、物について言えば、自分の外に物は存在すると常識的には考えるわけだが、外界が意識や主観から独立して、それ自体として存在することはないというのである。とこういう具合に解説が続くわけだが、大変興味有る心の世界の話しなので、是非関心のある方はご一読をお勧めする。横山紘一著、「阿羅耶識の発見」。幻冬舎新書、定価760円也。

投稿者 zuiryo : 2011年04月24日 20:12

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