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2011年03月07日

不屈

先日用事があって郷里へ出掛け、姉の家に一晩泊めて貰った。翌日応接間の窓際に、薄紫の花が10数本並んで咲いていた。この花、実に可憐で見るからに弱々しい。クリスマスローズと言うのだそうだ。聞けばこの冬、猛烈な寒さで、一斉に茎がお辞儀をして、花が地面に付かんばかりだったそうだ。ああ、もうこれは枯れて駄目になったと諦めていたら、なんと、日が差して少し温かになったら全部元通り、しゃきっと立って、綺麗な花を見せてくれたと言う。当に不屈の精神である。ちょっと挫折したからと言って、人生もう駄目だと諦めてしまうのは人間だけで、見よ!この可憐なクリスマスローズの生命力を。今、梅のシーズンだが、うちの寺にも戦災にあって丸焦げになり枯れてしまった梅の木がある。幹も枝も総て焼け落ちただ根だけが残った。それが何と20数年後、根っこから1本の枝が伸び、2本3本と増えてゆき、いまや焼けこげる以前と全く変わらぬほど大きく枝を伸ばした。3月には真っ赤な花を一面に咲かせ、それは見事なものである。山門を潜ると直ぐ目の前にあるので、やって来る人は皆、その美しさを褒め称える。クリスマスローズと言い、この梅の木と言い、植物は余分なことを考えないから良い。ただひたすら生きるために懸命の努力をする。それに比べて人間は、ものを考えるから却って駄目になる。下手な考えはしない方が余程増しだ。無心になれば、本来の力が湧いてくるのである。もっと自然に学ぶ必要がある。昨日もNHK「ダーウインが来た」を見ていたら、カイツブリと言う水鳥の生態を放映していた。オスの婚活には笑らっちゃったが、猛烈な水上ダッシュやダンスのテスト等々、どれも生きるための厳しい選抜である。ちょっと見が良かったからと言ってふらっとして、後先考えず結婚し、2,3年もしないうちに臍を噛む思いをする人間などより、このカイツブリの方が余程増しだ。人間は考える葦だといった人があるが、一口に考えると言ったっていろいろで、大半は下手な考え休むに似たりである。そこで敢えて考えの総てを捨てきって、そこから自然に出てくる素直な心地が、正しい道を指し示してくれるのではないかと思うのである。

投稿者 zuiryo : 2011年03月07日 11:08

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