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2009年06月06日

99歳の握手

満99歳の老婦人を見舞った。最後にお目に掛かったのが10数年前、もうお目に掛かれるのもこれが最後だと思いますからと、家政婦さんに手を引かれるようにして来られた。その後音信不通で、既に亡くなっておられるのではと思っていたが、ごく最近99歳の誕生日を迎えられたことを知った。近年は寝たきり老人になってしまい、意識もほとんど無く、ただ病院のベットに横たわる日々と聞いた。急に思い立って、一度是非お目に掛かりたいと末娘の方に連絡すると、病院まで案内してくれた。最初病室に入った時はすやすや寝入っておられたので、近くの喫茶店で少し時間を稼ぎ、再度病室へ行った。折良く目を覚ましておられ、娘さんが耳元で、岐阜の清田さんが来てくれましたよ、と言うと目を見開き反応があった。骨ばかりになった手を撫で、そっと握手をしたら、かすかに握り返してきた。そのまましばらくじ~っと顔を見ていたら、だんだん生気が蘇ってきて、手を微かに上下に動かして嬉しそうにした。私の人差し指1本をしっかり何度も力を込めて握ってくれた。40数年間の想い出が頭の中をぐるぐる巡って、思わず涙が出そうになった。99歳の長寿を祝いたいところだが、殆ど意識もなく、病院のベットに横たわる日々は、却って辛かろうと思った。さりとてどうすることも出来ないわけで、人間最後をどう締めくくるかは、本当に難しいものだと思わずにはいられなかった。

投稿者 zuiryo : 2009年06月06日 20:16

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