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2009年03月31日

カラスの散歩

朝晩はまだ少し寒いものの、日中はぐっと春めいてきた。総門脇の数本の桜も今や花盛り、門前の人達が花の下でお喋りしている。今日は把針灸治、し~んと静まりかえった、居室前の石畳をのんびりカラスが散歩している。1羽また1羽、数えたら10羽、綺麗に掃き清められた石畳では餌になるものなど何もない。どう見てもこれは仲良し同士の散歩である。髪はカラスの濡れ羽色と言うが、黒々していかにも艶のある背中に日を一杯に浴び、歩く姿は堂々たるもので、思わず見とれた。どこの都市でも生ゴミをあさるカラスには閉口している。だから嫌われ者の代表のような鳥だが、あれはカラスに罪があるわけではなく、人間の管理に問題がある。餌を求めて飛び回るのはどの鳥も一緒で、生きるためには必死に餌をあさるのである。つくばいに水浴びにやって来る小鳥を狙って、うちの野良猫が飛びかかるのも、生きるためには止むを得ないことなのだ。それにしても隠寮の庭にカラスは絵にならぬ。カラスは頭が大きいからその分賢く、追っ払ってもこちらとの距離を計算して、余分には逃げない。その辺が一層小憎らしく、可愛げがないのである。更にあの悪魔の鳴き声がいけない。早朝鶯がしきりに鳴いているが、もしカラスが大口開けて、「ホーホケキョ!」なんて鳴いたら、さぞかし人気が出るだろうと夢想した。明日から4月、新年度の始まりである。僧堂も夏時間帯になり、起床から全てが早くなり、一つの節目である。

投稿者 zuiryo : 2009年03月31日 14:15

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