« 孤独なハチ | メイン | 検査狂 »

2009年03月15日

入門

今朝、僧堂時代の先輩の娘さんが尼僧になって、尼衆僧堂に掛搭した。娘の入門を見届け、母親がその足でお寺に挨拶に来た。既に前からこの日のことは伺っていたので、取り敢えず無事に入門を果たし安堵した。数年前、師匠である父親が他界し、いろいろな事情から、急遽勤めを辞めてお坊さんになったのである。この父親は所謂酒乱で、随分周囲を困らせたものである。郷里へ帰って、縁あって空き寺に入り、その後家庭を持ち3人の子供にも恵まれた。そんな風だったから、さぞや家族の者は困り果てただろうと伺うと、40半ば頃から急に性格が変化して、実に良い和尚さんに成ったと言うのである。あることが切っ掛けとなりガラリッと変わって、多くの信者さんから慕われ、ためにお寺も栄え、ますます隆昌だという。若い頃を知っている者は、以後悲惨な人生を送ることになるだろうと思っていたから、何と何とこれにはビックリである。ここで思うのは、瓢箪から駒が飛び出したわけではなく、彼の心の深みに、人を引きつけて止まない、温かなほのぼのとした境界が潜んでいて、それが時宜を得てほとばしり出たのではないかと思う。人は諦めてはいけない、時節因縁熟すれば、いつかは花咲くときがやってくるのだ。

投稿者 zuiryo : 2009年03月15日 11:31

コメント