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2006年02月26日

陶工

久しぶりにM氏の陶房を訪ねた。30数年来のお付き合いだが、とても80歳とは思えぬ元気さである。私が雲水修行中老師のお供で初めてお目に掛かった時が竈出しの日で、まだ余熱の残る竈の中から次々に作品が取り出されると、途端にキンキンと一斉に鳴りだしたのが大変印象深かった。爾来鎌倉で小庵の住職をしていた時も近くで個展を開催すると必ず寄ってくれた。その後岐阜へやって来てからも折にふれてお立ち寄り頂き細々乍らお付き合いが続いた。10年ほど前には趣味の滝行にもお誘いし一緒に木曽へ出掛けたこともあった。今回は知人を連れて茶碗に字を書かせて貰ったのだが、この場所に竈を築いて40年になるそうだ。既にご子息さんも共に陶作に勤しんで居られるのだが、「この世界は作品が全てですから、例え息子でも相応の力量がなければ誰か別の人に跡を継いで貰えばいいのです。」と言われた。芸術の世界は勿論のこと企業でも後継者に相応しい力がなければ淘汰される。この厳しさがあるからこそ必死になるのだ。さて我々宗門はどうか、依然としてぬるま湯体質は改まっていない。これでは生存競争で日々戦っている世間の人から信頼を得ることは出来ないと痛感した。

投稿者 zuiryo : 2006年02月26日 21:24

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