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2016年08月18日

山頭火

ずっと以前、弟子が制間に行脚に出た。僧堂を出発して、紀伊半島を一巡、山陽道から九州へ、大分・宮崎・鹿児島・熊本・佐賀・福岡・山口へと辿り着いた。泊まりは行き当たりばったりで、神社の軒下で寝たり、安宿に泊まったりとして約半年歩き続けた。山口の鄙びた温泉に辿り着いた。数件の宿を手前から順番に宿泊を頼むと、次々断られた。何せよれよれの法衣に草鞋ばき、どう見ても乞食坊主である。ついにここが最後の宿という一番奥で一晩の宿を頼むと、何と大歓迎だったという。余りのことで聞くと、昔宿の主人がまだ小さかった頃、父親が種田山頭火を1ケ月以上泊めて接待したそうだ。その記憶がその雲水のよれよれ姿とオーバーラップして、大歓迎してくれたというわけである。「どうぞ何日でも好きなだけ泊まっていって下さい」と言われたそうだ。僧堂に戻ってから、「ところで宿の主人の言っていた種田山頭火というのはどういう人なんですか?」「な~んだお前はぜんぜん知らんのか~!」。現代俳句の俳人で、「分け入っても分け入っても青い山」はつとに有名。ところで先日、渥美清の寅さん映画の特集が有り、渥美清は現代俳句の熟達の人だったらしい。金子兜太が絶賛していた。何句か披露されたが、これはなかなかのもの、ビックリポン!

投稿者 zuiryo : 2016年08月18日 20:32

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