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2011年10月04日

木曽川紀行

私の絵の先生が木曽川の源流から河口までを描き上げ、その本の出版と完成を兼ねて祝賀会が催された。すでに長良川・揖斐川をまとめられ、今回で木曽三川は全て描き上げられたことになる。この間25年の歳月を要した。そもそも発端は、一番身近な長良川を時折描いて居られたところ、友人に源流から河口まで描いてみてはどうかと勧められたのが切っ掛けだそうだ。長良川が無事完成し披露の個展を催した時、嘗て教員として初任地の徳山小学校の教え子が見に来て、揖斐川の源流である徳山を何故描かないのですかと言われ、それではと次ぎに揖斐川を描き、こうなったら木曽三川を描かなければと言うことで、結局25年続ける事になったというわけである。長く教員生活をしておられた関係で、沢山の人の縁があり、そう言う多くの方々に支えられて75歳になった今も益々お元気に活躍しておられる。ところで、日本で絵だけで食っていける画家は一握りで、大半は教員やサラリーマン、役所勤めなどで家計を支え、そのかたわら、普通の人ならレジャーやスポーツなどで過ごす時間を画業に割いて頑張っている。だから余程好きじゃないと続けられない。特に組織に入らず個人的に活動しておられる人はまだ良いが、日展や院展などで活動しようとすると、組織の中での競争になるから、端から見ていても大変さが伝わってくるほどである。競争になれば誰でも負けたくはないから、年中頭の中から離れることはなく、因果な仕事に首を突っ込んだものだと同情したくなる。しかし常に厳しい人の評価に晒されることが向上に繋がるのだし、自己満足で終わらない良さがある。ではどちらを選ぶかだが、私なら後者を選ぶ。幾つになっても自分の頭を張り倒してくれる緊張感の中で過ごす人生の方が何倍も充実していると思うからである。精々生きて80年、苦しみの真っ只中で生きたい。嬉しさはその合間のほんの一時で良いのだ。

投稿者 zuiryo : 2011年10月04日 11:10

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