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2011年05月29日

一念

知人の奥さんで、頭の下がる人が居る。20数年前、高校を卒業後、事情でやむなく即就職、婦警さんになった。真面目でてきぱきした仕事ぶりがが認められついに警部にまで昇進した。女性でこの地位は珍しいそうだ。普通ならそのまま仕事を続け、定年退職と言うところなのだが、20数年後、すぱっと退職し、受験勉強を始めた。嘗て行けなかった大学入学を目指したのである。そしてついに念願成就、入学を果たした。大学生としてまた主婦としてその間、家事一切を切り盛りし、母親の介護も同時にしながら、間もなく4年が過ぎて卒業を迎えるという。「女の一念巌も穿つ」と言うが、当にその見本を見るような思いである。今東日本大震災で塗炭の苦しみの真っ只中に居られる多くの罹災者が居る。テレビや新聞を見るに付け、かける言葉も失うほどで、当に逆境のただ中で、その心中はいかばかりかと察する。家を失い仕事を失い大切な家族まで失い、絶望の淵に佇んで居られる。しかし人間はどんなにうちひしがれ、もう駄目だというような状況になっても希望さえなくさなければ、冒頭申し上げた方のようにいつかは思いを叶えることは出来る。勿論事情は全く違うので、一緒には行かないかも知れないが、心の強さという面からすれば、同じような気がする。津波は人間から全てを奪い取ったが、心までは奪い取ってはいない。灯を絶やさず燃やし続け、どうか立ち上がって欲しいと祈るばかりである。我々幸いにしてその難を逃れた者は、何年経っても支援し続ける覚悟を持たなければいけない。少々電気代が値上げになるとか、消費率がアップすることぐらいの負担は当然のことである。

投稿者 zuiryo : 2011年05月29日 10:03

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