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2011年02月11日

寺の会計

僧堂では伝統的に会計は雲水の中から副司役の者が住職に代わって一切を仕切る。私も雲水修行時代は何度もこの副司をやらされた。しかし私が修行した道場は会計は極めて単純で、収入はほぼ托鉢金のみで、基本的には自給自足だった。燃料は山の木を薪にして使い、水も山のわき水、電気代が少々かかるくらいだった。だから我々素人でもやることが出来たわけである。その方式をこの寺に来ても雲水達にやらせていたのだが、いろいろクレームが出てきた。矢張り子供には無理なのである。市内に貸し地や駐車場があったり、檀家との遣り取りなど、煩雑を極める。そこで総代さんと相談して、土地の管理は総て銀行系の不動産業社に頼み、会計も専門の会計士に依頼し、おおもとの管理は私自身がやることにした。途端に私の仕事が増え、ただでさえお金に弱い性格上、電卓のキーを叩きながら日々格闘している。しかし雲水の負担はこれでぐっと減って、皆喜んでいる。修行は坐禅や公案の拈提、托鉢や作務などが中心で行われるわけだが、そればかりではない。住職したときに寺のことが万般に亘って不都合無くやって行けるように会計のことから檀家との遣り取りなども同時に学んで行かなければならない。その点ではうちの場合その方面の修行をさせることが出来ないので、善し悪しだと思っている。まっ、今12年目の者が居るので、ぼつぼつそれに任せようかと考えている。世俗のこういう事柄も大きく言えば修行の一つなのだから。しかし不動産管理は本当に難しい。特に土地の境界争うなどは聞いただけでも頭が痛くなる。今のところ大した問題は発生していないが、常につきまとう問題である。専門家にお願いしてあるとは言え、最終的にはこちらの判断を求められるわけで、たった5センチ10センチがおおもめになり、1日中掛かっても決着が付かないと言うこともある。「杭を残して悔いを残さず」と近くに看板が掛かっているが、な~るほど!近年市役所が公道と個人所有地の境界を順次決めて杭を残している。しかしこれは膨大な作業で、後何十年掛かるか解らないそうだ。土地争いは、大きくは国家間でも大問題になっているものであり、人間が生き続く限り、なくなることは無いのだろう。  

投稿者 zuiryo : 2011年02月11日 16:07

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