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2009年08月29日

土塀

選挙運動の真っ只中だが、昔は政治家が一人その家から出ると、残るのは井戸と塀だけで、後はスッカラカンになると言われた。だから政治家のことを別称、井戸塀と言った。現在はそんな殊勝な政治家は一人も居ない。むしろ反対に大いに財産を築いて、○○御殿などと称されるほど、立派な屋敷を構えて、いわば政治が金になる職業になったわけである。ところで塀の話を持ち出したのは、そんなことを申し上げるためではなく、最近山内の寺の土塀が崩れて、現在新築中なのである。この塀は相当古く、塀の芯まで土で固めた作りになっている。長い年月を経る内についに寿命が来たのと、今年の長梅雨の影響をもろに受けて、突如として崩れだした。専門家に見せると、根本的に作り替えなければ駄目だと言うことで、新築を決意したというわけである。今度は土台部分と芯はコンクリート製にして、下部は石で覆い、上部は漆喰を塗って仕上げる方法だそうだ。うちの寺の土塀も伽藍再建の折り、そのような新しい作りにしたが、今回も同様である。ところでこの費用バカにならぬ。1メートル30万円掛かるという。合計40メートルだそうだから、締めて1200万円の出費である。小さな家なら一軒建つほどの費用が居るわけで、寺の維持管理も容易なことではない。知人が妙心寺山内に住職し、伽藍新築の折り、周囲の土塀も新たに作り替えることになった。しかし余りにも費用が高く付くので目が飛び出したと言っていた。本山の場合は景観を整えると言うこともあり、伝統的な形を踏襲した塀でなければならないのだそうで、塔頭寺院も楽じゃないな~と思った。塀は元々は防犯上の意味だと思うが、やがて寺院の景観を整え雰囲気を醸し出す重要な役割になり、塀でその寺の格式まで察せられるほどにまでなった。これはいわば身に纏う着物のようなもので、中身に相応しい着物を着てこそ、一層その人間も引き立つというわけである。しかしこの着物代、結構な費用が掛かるものである。

投稿者 zuiryo : 2009年08月29日 10:01

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